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ロータリー米山記念奨学生
金 成花 さん
私は中国吉林省の出身です。初めて日本のことを強く意識したのは、小学生の時で、山口百恵さん主演のテレビドラマ―赤いシリーズが中国で大ブームになった頃でした。主人公の演技も魅力的でしだが、ドラマに出てくる日本の綺麗な町、繊細で寛げる和風の家、礼儀正しい人々に、深く心魅かれ、日本のことを強く意識するきっかけになりました。
しばらくの時間が経ち、大学を卒業し、地元(図門市)の市民病院に就職することになりました。医師として働いて見ると、根本的な治療ができるのはまだ限られた病気だけであり、殆どの疾患は発病原因さえ明らかでない現状が、だんだん判って来ました。小さい頃からずっと日本に興味を持ち続けていたこともあり、最先端医療技術を誇る先進国の日本で、もっと勉強したい意志が強くなるばかりでした。
そしてついにチャンスが訪れました。広島大学に留学していた従兄弟の紹介で、広島大学脳神経内科−中村重信教授の下へ留学が決まり、2000年10月ついに日本留学の夢を実現しました。
初めて日本に来たときは、日本のインフラ整備の充実さ、先端医療技術、経済大国の姿に驚き、日本で勉強する意欲もますます大きくなりました。また、自分が来日後、翌年の2001年3月24日に発生した芸予地震を始め、何回も自然災害が発生しましたが、その度に、日本の皆さんがお互いに支えあい、すぐに街を復興させていかれる姿を見て、その立ち直る精神力とエネルギーに驚嘆しています。自分の周りの日本の方々も、非常に協力的で優しく接して下さり、様々な面から応援を頂いています。
しかし、日本での滞在年月が経つにつれ、経済大国が抱える様々な問題も見えてきました。経済の不景気に伴い自殺者の多いこと、親と子供の一緒にいられる時間の不充分さ、教育の甘さと、それが原因であると思われる少年犯罪・性犯罪・お年寄りの虐待、女性の自立と子供を育てにくい社会環境による少子化問題など、この国でも経済の発展と伴に生まれた様々な社会問題も見えて来ました。
しかしながら、基本的に人々の優しい心と技術を学ぶために最高の教育環境があることには変わりが無く、日本で暮らしていることに非常に満足し、充実した日々を送ることができました。
私は私費留学生として来日しました。日本に来たばかりのころは物価の高さで、経済的には非常に辛い面もありました。そんな中、2004年度国際ロータリー第2710地区の米山奨学生に選ばれ、経済面での不安がなくなり、安心して勉学に専念することができました。そして、安佐ロータリークラブが私の支援担当になって下さり、以降毎月一回例会への出席や、卓話で話をするなどの機会を頂いていました。カウンセラーの佐藤先生を始め、米山記念奨学会委員長とクラブのメンバー達に暖かく迎えられ、いろんな記念イベントにも参加でき、研究の傍ら非常に貴重な経験になりました。
私が所属しているのは、広島大学大学院医歯薬学総合研究科です。神経変性疾患の治療方法を開発する目的で研究を進めました。神経変性疾患の多くは加齢と共に発症する進行性の難病であり、根本的な治療方法が見つかっていません。一方、高齢化人口の増加に従って、神経変性疾患に罹患した患者は増加の一歩を辿っているのが現状です。私はこの5年間の研究を経て、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病脳において、神経、グリア細胞内に異常線維構造が出現して細胞死を迎えるプロセスの研究を、形態的、かつ生化学的に証明しようと試みました。中でも、その代謝過程における促進系、抑制系を検索して手掛かりを得てきています。特に、促進物質の探索と、異常線維構造形成におけるシャペロン蛋白の同定を目的として、この1年間に、進行性核上性麻痺におけるグリア細胞でのタウ蛋白の異常線維形成過程を世界で初めて明確しました。また、共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いて、グリア中でも、オリゴデンドログリアとアストログリアそれぞれにおける異常線維形成の差異を免疫二重染色法により確認しつつあります。このように異常線維形成初期における新規分子探索を行うことにより、病態解明や新しい治療法の開発を試みています。これらの研究成果を論文にまとめ、国際英文雑誌に発表し、2005年9月無事博士号を取ることができました。
最後に、今まで支援して下さったロータリークラブの皆様方、日本の先生方と友人に心から感謝を申し上げます。
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